普通の人

普通の人の日常

私、馬鹿なのかな

 

ガール DVD カジュアルスタイル (通常版)

ガール DVD カジュアルスタイル (通常版)

 

 年末になんとなく録画していた映画「ガール」を見た。

笑って泣けて、女子力上がるみたいなキャッチフレーズで、特に何の思い入れもなく見た。

笑って泣けた。

女子力上がるかわからないけれど、「女でいいか」と思い、ちょっとだけ前向きな気分になった。

 

で、超映画批評で100点満点中5点と知った。

 

私は、100点とまではいかないけれど、70点くらいだ。

私の心を動かしてくれたし、最後は前向きな気分にまでさせてくれた。

 

超映画批評の批判はしない。

私の感想だけ書きます。

 

香里奈演じる「由紀子」は29歳になり、自分の「かわいい系ファッション」と「29歳」という世間の印象の間で揺れる。

年齢は地続きに続く。

22も25も30も、結婚や出産がなければプライベートや服装だって変わらない。

でも「30じゃちょっと」とか服装と年齢を絡めて言われるようになる。

 

由紀子みたいなタイプにとって、ファッションとアイデンティティは結びついている。

だからこそ円形脱毛症になる。

だからこそ、あの彼氏がかけがえのない存在になるのだ。

 

スーツって便利だなと思って以来、仕事用の地味な服を別に用意するようになったけれど、女性は自由度が高い分、批判されやすい気がする。でも、むしろ華やかさを求められてる職場もあるし、正直「衣装代出せよ」とおもうけれども、「好きでやってるんでしょ」と片付けられてる部分も多い。そして、それが当たり前と思っている女子も多い。

 

次に聖子(麻生久美子)。バリキャリ、夫あり、子無し。

超映画批評で酷評されていたけれど、男性部下と、大人同士、仕事仲間として向きあおうとしたけれどそれができず、相手が幼稚で姑息な手段に出たから、これは会社の損益にもなるし、同じレベルにまで降りて対決しないと相手は納得しないだろうということでやった結果だと思う。

でも、本当はそんなことがしたいんじゃない。

それぞれの能力を発揮してもらって、仕事を成功させたいだけだ。

むしろ、あんな汚れ役やって、偉いなあくらいに思っていたのに。

男性部下が男幹部に根回しして、あれだけ立ち回れるって、聖子も「女」になって立てて利用する方法もあったはず。でもそれはしなかった。それは(仕事の内容を見るに)開発する地域の人のためにならないから。ひいては会社のためにならないから。

すごく冷静で仕事ができて、度胸も決断力もあって、ユーモアもある。

安易じゃない(「女」になってたててその場しのぎをしない)仕事ができて、それを許される環境って、むしろ羨ましすぎて嫉妬すらする。

 

次は容子(吉瀬美智子)。年齢で、好きな人を「好きだ」と思うことすら自ら禁止している感じは、女性特有かもしれない。

だって、芸能人でも、「私、若い子が好きです、20代限定」とか言う30代以上の女性タレント見たことありますか?男性なら芸人さんとか結構いると思うけれど、女性は、公言している人一人も居ないと思う。

そして女性が多い職場。上司は男性多め。ありがち。もう男性社員入ったら、出来る出来ないにかかわらず上に行けるシステムな組織。

女同士の偏見、女性としての偏見、家族のプレッシャー、自分の意見じゃないところで、それらの問題を考慮しながら、好きな人すら好きと思っちゃいけないと思うような状況に追い込まれているわけです。

それを打破するのは、やっぱり男というなんともな話なのですが、本人は喜んでいたので良しとしましょう。

 

最後はシングルマザー孝子(板谷由夏)。父親役も自分で補ってしまおうと考えるほどの努力家であり、それゆえにまわりの優しさを見失いがちだ。

シングルマサーは難しいと思う。

救いの手は、弱みに付け込まれるんじゃないかと身構えてしまうし、理想の父親像を自分が引き受けて無理をしてしまう。

それは相手にもそれを強いることかもしれない。

相手が大切すぎて空気を読めてしまう、気を使えるからこそ、傷つけてしまう母子家庭というものを描いていると思う。

 

そうか、全体として、「失う」「変わる」ことをテーマにしているのか。

女性の人生は、まだまだ男次第とも言える。

結婚でも姓が変わるのはまだまだ女のほう。

子どものいるなしで、影響があるのは女がほとんどだ。

それだけじゃなく、年齢も、外見も、中学生くらいから評価の連続である。

その、他人様のつけた評価の下には、「私」がいる。

「俺」むき出しで生きてきた男様にはわからないかもしれないが。

 

その「私」が、ぼろぼろぼろと出たのが、この映画なのだと思う。

出ざるを得なかった状況。

アイデンティティを否定された「由紀子」

仕事関係なく性別で全否定された「聖子」

恋愛と年齢の板ばさみになった「容子」

父親役と母親役をこなそうとした「孝子」

 

みんな、もう今の自分、ってか存在自体否定されちゃってる。

 

ばかみたいとわかっていつつ、勝負してみたり、ボール見えなくなるまでキャッチボールしてみたり、足掻いて足掻いて。

 

でもさ、そのきらめきは、ばかみたいだけれど、素敵なことよね。と、思ったけれど。

 

5点かー。

 

 

 

29

お題「好きなお酒」

 

今、29という名の酒を飲んでいる。

 

焼酎 玉乃光 29(にじゅうきゅう) 720ml

焼酎 玉乃光 29(にじゅうきゅう) 720ml

 

 肉の絵が描かれている。

なかなかな異彩を放っていたので、買ってしまった。

肉料理と食べると美味しいらしいが、すまなんだ。酒を呑むときは食べないんだ。

 

でも、お酒だけでも美味しいです。

 

気持ちが見える

今日は短いです。

 

スノーマン [DVD]

スノーマン [DVD]

 

 スノーマン。

グッズなどで知ってはいたが、映画をちゃんと見たことはなかった。

 

先日偶然見る機会があり、感動。

 

しかしゆっくり見れなかったので、今日改めて見ました。

 

あらすじ

 

少年が朝起きて、スノーマンを作った1日の出来事。

 

感想

 

少年が熱心にスノーマンを作っていく工程を見て、思った。

私には非常にかわいがってるぬいぐるみがいる。

私の中では魂が宿っている。

日本人には得意なアニミズムがここにあるのではないかと。

 

また、このスノーマンがとってもチャーミングなのだ。

そして、少年のことが大好きだとわかる。

これってすごいと思う。

冒頭以外言葉はない。

でも、もうわかっちゃうのだ。

少年はこのスノーマンがとても好きで、

スノーマンもこの少年が大好きだということが。

 

最初に見た時、なんて残酷な映画だと思った。

でも、だからこそ、何度も何度も見てしまう。

またあの二人を見たいから。

 

 

 

よい食材は素朴な料理でもおいしい

今日はちょっと酔っ払いつつこの1本。

 

ジュリー&ジュリア [DVD]

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 あらすじ

 

この映画は、1949年に生きるジュリアの書いたフランス料理のレシピ本(アメリカ人向け)を中心に、2002年に生きるジュリーと、物語が同時進行していく。

 

ジュリアは背が高く、聡明で努力家で明るく、食べることが好きなアメリカ人女性。

 

外交官である夫についてパリに住むうちに、フランス料理に見せられ、本格的にフランス料理を学び、本を出版しようとする。

 

一方のジュリーは、2002年NYのピザ屋の2階で結婚生活を始めるとともに、ジュリアの料理本に書かれた料理を一年掛けて作るというブログを書き出す。

ブログは段々と人気になり、やりがいを見出していくが…。

 

 

感想

 

ジュリアがとにかく魅力的。だれだって好きになってしまう。

ジュリーだってそうだ。やっぱり聡明で、優しくて、愛おしくなってしまう。

ジュリアの夫も、ジュリーの夫も、とっても素敵。

彼女たちの本当に素敵なところ、ただそれだけをしっかりと見つめている。

 

この映画を見て、改めて面白いと思うのは、時代は違えど女達は料理を作っていて、そのレシピは変わらないのだということ。

「おいしい」という感覚は、いつの世も同じって、ちょっとおもしろい。

 

あと、ブログが生きがいになってしまう瞬間。

日々を楽しむためのブログが、ブログに好かれようとし出す瞬間ってあると思う。

 

あと、音楽も良かった。

 

泣けるわけでも、笑えるわけでも、憤りを感じるわけでもない。でも、素敵な人達が生きている様を見るのは、どうしてこうも清々しく、嬉しくなってしまうのだろう。

 

  

安心してください、生きてます

今日も一時間半くらいで見れる映画ということで、こちらを見ました。

 

ララピポ [DVD]

ララピポ [DVD]

 

 残念ながら原作を読んでいなくて、映画のみの感想となります。

 

※ネタバレあり、ご注意ください。

 

あらすじ

 

風俗スカウトマン、巨漢フリーライター、元OLのAV嬢、声優志願のロリータファッションデブ、ゴミ屋敷の主婦、SFヲタ…それぞれの人生を、少しでも良いほうにと生きる姿を描いた映画。(まあそんないいもんでもないですが)

 

感想

 

前半、「これが娯楽映画として、これが娯楽になるの、男子中学生?男子高校生?」ってくらいどうでもいい性欲話が続く。

 

「原作は奥田英朗だし、これで終わるわけない」と信じてよかった。

 

後半はなかなか面白いです。

 

意外に一番嘘つくことが多いのがSEXのことなのかもしれないなと、この映画を見て思いました。

 

風俗スカウトマンは女の子に

巨漢フリーライターとSFヲタは自分に

元OLのAV嬢はAV視聴者に

声優志願のロリータファッションデブはSEXした男に

ゴミ屋敷の主婦は世間に

皆、嘘をついている。

 

でもその嘘は今を生きるためであって、処世術で、自分を守る盾と鉾でもある。

 

皆多かれ少なかれ抱えている「嘘」は、ギリギリで生きている人のほうがつきやすい。ってか嘘つかないと自分が保てない。生きていけない。

 

こういうのって、もっとヒリヒリした感じで描くことも出来ると思うのですが、カラッと描かれていて、そこが好きでした。

 

「うっせえよ。お前の感傷の道具にすんじゃねえよ。こっちはそれどころじゃねえんだよ。」という感じが好きでした。

だって、そうだよねえ。

 

特に、真っ赤なラブレターを貰った声優志願のロリータファッションデブが、手紙捨ててたところ。

「てめえの性癖や感傷なんて知らねーよ。バーカ」

と(私には)聞こえてきそうで、

「ああ、ちゃんと生きてる人の映画見たな」と思いました。

 

 

 

 

 

 

そういえば最近あこがれていない

今日読んだのは、積読したままだったこの本でした。

 

あこがれ

あこがれ

 

 5時に夢中!で中瀬親方がおすすめしているのを偶然見て、普段は高いから単行本はあまり買えないのだけれど、

「前回偶然見た時、中瀬親方がすすめていた本『ふがいない僕は空を見た』はとってもよかったから、今回もきっと面白いはずだ」

と、えいやっと本屋に走って買いました。

 

※ネタバレ?あり。ご注意ください。

 

参考

 

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

 

 

『あこがれ』

 

あらすじ

 

第一章「ミス・アイスサンドイッチ」

 

主人公は小学四年生の男の子。スーパーのサンドイッチ売り場の店員さん「ミス・サンドイッチ」が気になってしょうがない。夏休みの間、通い詰めるほどに。

 

第二章「苺ジャムから苺をひけば」

 

主人公は小学六年生の女の子。お母さんは小さいころ亡くなって、映画評論家のお父さんと二人で暮らしている。

ある日、パソコンを使った授業中に、男子が勝手に検索したお父さんのプロフィール画面を見てしまう。

 

感想

 

まず、

「どうしてあの感覚を、作家の川上さんは知っているんだろう」

と思い、

「ああ、みんなかつては子どもだったんだから、川上さんだって子ども時代のあの感覚を書いたのか」

と思い、

しかもこの本がとても人気があると知り、

「え、じゃあ子どもの頃のあの感覚って、恋や失恋や「お化け怖い」みたいに大勢の他の人と共通した感覚なんだ」

とびっくりした。

当時はそんなこと、思いもしてなかったから。

友達はともかく、自分の親や先生や知らない大人の人も、自分が毎日感じていることや不思議や違和感や感覚を知っていたなんて。

 

「ミス・アイスサンドイッチ」の外見は、周囲の態度や言葉から、かなり悪い意味で目立つ外見なんだということがわかる。

けれど、麦くんの世界から見ると「ミス・アイスサンドイッチ」はとっても魅力的だ。

「ミス・アイスサンドイッチ」には申し訳ないけれど、一番好きだったカミキリムシを思い出した。

カミキリムシはとってもかっこよくて、なんというかキリッとしていて、孤高だった。

クワガタもかっこよかったけど、カミキリムシは別格だった。

(でも友達も「カミキリムシが一番かっこいい」と言っていたから「ミス・アイスサンドイッチ」とはちょっと違うかもしれない。どれくらいの人が「カミキリムシが一番かっこいい」と思っているんだろう)

 

それと、おばあちゃんの匂い。

おばあちゃんの部屋の匂い。

おばあちゃんの二の腕(ふりそでと呼ばれる部分)がありえないくらいに柔らかくて、いつまでも触っていたいくらい柔らかくて、夏になるとその真っ白で全く弾力のない二の腕を時々触らせてもらっていたこと。

 

夕方になると、何だかわからないのにとても悲しくなって泣いていたときの感覚。

世界がふにゃふにゃで、周りの音や言葉が遠くて、「わたし」のことしかわからなかったこと。

 

 

 

「苺ジャムから苺をひけば」のへガティーの、父親が許せないというか、知らない人になってしまった感覚を思い出した。

 

自分が知っている限り、「お父さん」はずっと「お父さん」で、かつては自分みたいに若かりし頃があったということは言われればわかるけれど、「お父さん」は「お父さん」の人生だけしかないような感覚で親のことを見ている。

 

それがある日突然「男の人」とか「男性」とか、そういうものに見える。そんなもの見たくない。知りたくない。でも知ってしまった、知らされた怒り。

 

大人になると、大人の事情というのか、離婚や再婚をする側される側の当事者の目線をついつい考えがちだけれど、その目線に行くまでにたくさんのショックや怒りを経験して当事者目線を持つようになったことを思い出した。

 

でも、私の中にまだ「当事者目線」を持つ前の感覚が残っていたことに驚いた。

 

一方で半分のお姉ちゃんに憧れる気持ち。

アオさんの経験してきたショックや怒りのこと。

 

読んでいた時はちょっと感情的になりすぎていて、泣きっぱなしだったから、時間を置いてまた考えたり読み返したりしようと思う。

 でも、この本から、「見守る」ということがどういうことなのか、わかった気がした。

 

 

 

はじめます

ブログ始めてみます。

よろしくお願いします。

 

主に読んだ本や、見た映画のことを書いていこうと思っています。

 

早速なにか書いたほうがいいのかなと思って、1時間17分だったので映画を1本見ました。

 

※ネタバレあり ご注意ください

 

 

 『もらとりあむタマ子

 

あらすじ

 東京の大学を出て、父が一人で住んでいる実家の「甲府スポーツ」店に戻ってきたタマ子は、家事も就活もしないでだらだらマンガ読んだり寝たりしている。そんなタマ子の日常の映画。

 

なんだかとっても評判のいい映画なんだそうです。

主人公の前田敦子さんがいい演技をしているのだそうです。

 

感想 

あらすじの通り、何があるってわけでもない映画。

それはいい。

一瞬「お父さんの映画だっけ」と思うくらい、お父さんのささやかな日常が良かった。

家事が得意で、仕事熱心でお客さんから信用されていて、娘のことが大好きだけど、気が弱いところがあって強く言えなくて。日々淡々と、粛々と、同じ時間に店を開けて同じ時間に店を閉める。それでいいんだ、そういうもんだ、そういう人生を俺は送っているんだ、という人生が透けて見える。

アクセサリーの先生も、「タマ子ちゃん、面白いから」というセリフと、その後話を聞いてるんだか聞いていないんだかという感じで淡々と片付けをするのも「ああ、いろいろな経験をした、優しい女性なんだ」とわかる感じがよかった。

わからなかったのはタマ子の存在。

だらだらしてるくせに髪ツヤツヤ、朝からがっつく朝食風景。

途中女優を目指したいとわかって無理矢理納得したものの、ご飯替えるくらいで頑張っていくわけでもなく。

オーディション用写真も、中学生が撮ったわりに無駄に可愛く撮れているので「ここから急展開?」と思うも特になく。

終始ダラダラしてやる気が無いふうなのに、ボサボサ感が全く無い。ノーメイクの感じもないし(がっつりメイクの感じもないけれど)、ひっつめ髪ってわけでもないし。

店に出ることもあるからってことなのかな。

最後の中学生とアイス食べるシーンも、夏の終わりの残暑で中学生を見ればまだ暑いことは伝わるのに、タマ子は長袖着て前髪があって髪をたらしてアイス食べている。季節感がちぐはぐになっていてそこばっかり気になっちゃう。

タマ子役の前田さんの演技がどうというより、演技やストーリーと外見や小道具?に違和感を感じて、「伏線?」と無駄に考えてしまった。

タマ子の外見の違和感も計算のうちの映画なら、私には難しすぎた。

でも外見や小道具?演出?の違和感さえ気にしなければ、タマ子のようにダラダラ見れて、気楽な娯楽映画で「こういうのが好き」という人いるだろうなあとわかる。

何度か見たら、気にせず見られるのかな。

 

面白く見たけれど、違和感もあった1本でした。