つかめないものをつかむ
久しぶりに本が読めた。
朝早く起きたので、いっきに読んでしまった。
山田詠美著『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』
面白かった。
いやぁ、面白かった。
あらすじ
子連れ再婚同士の、美しい澄川家の話。
美しいママ。
ママの連れ子の長男澄生。
長女真澄。
飄々としたパパ。
パパの連れ子の次男創太。
そしてこれから生まれてくる次女、千恵。
長男澄生の突然の死を中心に、「家族」と「血」そして「死」という逃れられない事柄を、それぞれの目線から語っている。
改めて言う。
面白かった。
※ここからほぼ山田詠美さんの感想になります。
十代になった時、洗礼のように山田詠美さんの本を読み始め、途中エッセイのみになり、久しぶりに物語を読んだ。
一貫して「愛」について書かれているが、その「愛」は登場人物のどの人にも注がれている気がする。そして、登場人物のどの人も「愛」を持っているんだなあと思う。
「愛」なんて、自分勝手で独りよがりで、万能薬みたいな扱いされる時があるけど、それはたまたまその「愛」という薬がバッチリ合って効いた人だけで、合わなかったり、無理やり飲まされたり、「愛」のとばっちりを受けた人は、「愛」は、本当に、大変。
そんな大変なほうの愛も書かれているから、読んでいると「人間って愛おしいなあ」と思う。
ええっと、本の感想…。
「家族」「死」「血」。
ちょっと、感想言えない。
もう登場人物が親友みたいな気持ちになっちゃって、誰かがなにか言っても、「いろいろあったんだよ」と言って、もうあとはどんな決断しても応援するよみたいな心境になっちゃってる。
そう、登場人物を友達や親友にしてしまうのが、毎回凄いなあとおもう。
私がハマっているだけだとしても、一人でも「リアル」になっちゃうってすごくない?
あともう一つ。強烈に思ったのは、「美しいことは善」「美しい物を見て、美しいと思うことは当たり前」という前提の上で成り立っているということ。
「美しくなろう」と応援されることは、こちらの希望にかかわらず世の中で提案され続けているけれど、「これ、美しくていいですよね。とくにここ、このライン、この色使い、たまらない。」という具体的な提案をあんまり見たことがない。
あんまり言うと「オタク」と言われて別分類される気がする。
多分、何を美しいと思うかとはとても個人的だから。
山田詠美さんは、その個人的な美意識の部分を惜しげも無く出す。
そして、その個人的な美意識の部分に触れて、「愛おしいなあ」と思う。
美しさについては、また今度。